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踏切のイタズラで人生終了?踏切事故の高額賠償事例

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踏切の置石トラブル……
よくあるイタズラですが、列車の走行に支障を与えると、単なるイタズラではシャレにならないほどの賠償請求がなされることがあります。

京都府警八幡署は、2013年12月、列車往来危険の非行事実で、同府八幡市の小学生(10)を児童相談所に書類送致しました。現場や近くの踏切では、それまでに置石が6回も確認されており、うち3回は電車が緊急停車する事態になっています。小学生は「電車が好きだった。置石をするとどうなるか見てみたかった」と話しており、6回全てへの関与を認めました。

今回は、踏切事故の高額賠償事例について見ていきましょう。

◆子どもの「置石」のいたずらで、数百万円の請求に

刑法125条1項には、こんな項目があります。

刑法125条1項 列車往来危険罪
鉄道もしくはその標識を損壊し、またはその他の方法により、汽車または電車の往来の危険を生じさせた者は、2年以上の有期懲役に処する。

線路上や踏切への置石は、この「その他の方法」にあたります。
列車事故では、多くの人の命や身体の安全が脅かされる可能性があるため、ほかの交通手段への妨害に比べても、「列車往来危険罪」は厳罰に処す必要があるのです。
一方、民事上の損害賠償の例としては、事故の件数に比べれば、実際に請求される件数は少ないものの、いったん賠償となると請求額は高額となっています。

1980年2月、当時の中学生5人が京阪電鉄京阪本線の線路上にこぶし大の大きさの石を置いた結果、先頭から2両が脱線。先頭車両が周辺の民家に突っ込み、乗客104名が負傷する事故が発生しました。京阪電鉄側は置石をした中学生5人のうち、4人との間でひとり当たり840万円を支払う条件で和解しました。
しかし、残りの1人が現場にいたことは認めたものの、「置石はしていない」と主張し、支払いを拒否する事態に。そこで、京阪電鉄は被害総額約1億6000万円のうち、受け取った保険金等を除いた約1億1000万円の支払いを求めて提訴。裁判は最高裁までいったものの、最終的には他の4人と同様に、和解金の840万円を支払うことになりました。

ほかにも、1995年に大分県の豊肥線の脱線事故で、置石をした小学生の両親に450万円を支払う判決が下ったり、2003年に福岡県で小学生による置石でモーターが破損したとして、JR九州が親に約79万円を請求した例などがあります。

◆踏切で立ち往生したら、損害請求されるの?

また、踏切内で立ち往生して列車と接触するという事故のケース。

踏切内に普通乗用車が立ち往生していたため、後からやってきた大型貨物自動車が衝突を回避するためにブレーキを踏んだが間に合わず、結果的に踏切を通過中の列車と衝突した事故がありました。

裁判所は、損害として「電車一両分の廃車費用」「残り三両分の修理費」として約9000万円、さらに、「事故復旧に必要とされた人件費」と「代行輸送料」などに約2000万、合計で約1億1,000万円を認めました。

このほかにも、総額で2億円を超える損額の例もあるそうです。

ただ、踏切内での立ち往生の場合、大切なのは「列車に損害を与えたかどうか」という点です。道路交通法33条では、踏切内でエンジンが停止した場合、運転手は速やかに電車や列車に停止を促さなければいけない義務があります。立ち往生をしてしまっても、その義務に順じて非常用通報ボタンを押し、衝突前に鉄道会社に知らせていれば、賠償責任を問われることはありません。義務を怠り、列車や列車の運行に損害を与えれば、賠償請求が行われるのです。

また、列車への飛び込み自殺による損害では、遺族に数億円が請求される――という話を耳にしたことがあるかもしれません。実際のところ、こうした場合には、遺族感情を考慮して、請求は行われないことが多いようです。

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