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アップルの特許訴訟でサムスンにだけ高額賠償請求する理由とは

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スマートフォン業界の両雄といえば、米Appleと韓国のサムスンです。この両社が、おたがいの製品デザインや機能の知的財産権をめぐって、世界各地で泥沼の裁判を繰り広げているのは有名な話。今回は、このスマートフォンをめぐる訴訟騒動を紹介します。

◆サムスンに960億円もの高額賠償判決!

ことのはじまりは、2011年4月、Appleが「サムスンのスマホGALAXYシリーズは、iPhoneとiPadの特許を侵害している」として、米カリフォルニア北部地区の連邦地裁に提訴したことです。サムスンは、iPhoneのデザインを真似しているというのがApple側の主張でした。
一方のサムスンも、「Appleが第3世代(3G)モバイル通信技術の標準である「広帯域符号分割多元接続」(WCDMA)規格の特許をサムスンの許可を得ずに使用した」として、韓国、日本、ドイツで逆提訴を始めます。

世界10か国、50件以上にわたる係争は、両社で一進一退の攻防が続きましたが、ついに2014年3月、米地裁はサムスンに対し、約9億3000万ドル(当時の換算で約960億円)もの高額賠償を求める判決を下します。その一方で、Appleが求めていた製品の販売停止は棄却しました。
その後、2014年8月には、Appleとサムスンは、日本、オーストラリア、韓国、ドイツ、オランダ、イギリス、フランス、イタリアの8カ国でのスマホの特許に関する訴訟取り下げを発表。残るは米国内だけになりました。

数年にわたって泥仕合を続けていた両社が、なぜいきなり訴訟を取り下げたのかは明らかにされていませんが、長期化する裁判の費用がかさんできたのが原因ではないかとみられています。

◆訴訟=イメージ戦略

日本では、スマホと言えばiPhoneというイメージが強いですが、世界的に見れば、android搭載のスマホのシェアのほうがだんぜん高くなっています。

とくに、サムスンが得意とするのは、Appleと同じ高機能製品。大がかりな訴訟を起こすことで、「サムスン製品はパクリ」というイメージを植え付け、ブランド価値を下げようとしたのでしょう。一部の訴訟では、「GALAXYはiPadほどクールではない」という理由で、Apple側の主張が棄却されたこともありましたが、「iPhoneは高嶺の花」という新興国では、サムスン製品は引き続き絶大な支持を得ています。

ただ、先進国経済の先行き不透明感や需要一巡などで、2013年ごろから高機能スマホの市場に陰りが見え始め、代わって中国のシャオミー(小米)に代表されるような新興国市場向けの低価格スマホが市場を席巻し始めています。

◆iPhoneはソニーのパクリ??

カリフォルニア州サンノゼの連邦地裁で行われた裁判の途上、サムスンは面白い指摘をしています。「Appleのデザインは革新的だというが、そもそもはソニーのパクリではないか」と。
これはサムスン側の言いがかりではなく、Appleの社員がソニーのデザインを真似した試作品を作り、それを上司に提出した、そしてそのことを裁判で証言したというのです。

故スティーブ・ジョブズは生前、ソニーのトランジスタラジオやトリニトロン、ウォークマンなどに数多くのインスピレーションを受けたことを明かしています。しかし、クリエイティブな製品で若きジョブズを魅了したソニーも今や虫の息。パソコン事業は売却、テレビ事業は縮小と、看板だった家電部門は業績が低迷し続け、エンタメと金融事業が屋台骨を支えている状態です。
Appleも、その背中を追ってきたソニーのこうした状況を横目に見て、事業を支えていくためにライバルを早めにつぶしていく戦略に出たのかもしれません。

◆まとめ

IT業界では、古くから「オープンソース」という概念が発達しており、良い技術、優れたものは業界内でシェアしていくという方向性がありました。

しかし、業界の競争が激化する中で、各種の特許侵害の攻撃を受けるようになり、知的財産権を武器とした訴訟が数多く行われるようになっていったのです。
Appleとサムスンの訴訟は、その象徴のひとつと言えます。

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