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退職したら高額賠償!?ブラック会社によるトンデモ理論がありえない

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今や社会的なバズワードともなっている「ブラック企業」
そんなブラック企業の中でも、あまりの激務や労働条件の劣悪さ、非合法なビジネス活動などに耐えかねて退職を申し出ると、従業員に対して損害賠償を求めるトンデモ企業があることをご存知ですか?
今回は、そんなブラック中のブラック企業の所業を紹介します。

◆ありもしない不法行為を「でっちあげ」で4000万?!

中国地方のある企業で、経理マンとして働いていたある男性。長年真面目に勤めていましたが、ある日退職に追い込まれることに。さらには突然、元勤務先から、高額の損害賠償請求を求める訴訟を起こされました。その金額はなんと4000万円を超えています。とても払える金額ではないですし、とんでもない話です。
もちろん、その会社に勤務していた間、この男性は不法な行為などは行っていません。全て会社や上司の指示通りに忠実に業務をこなしていました。元勤務先も、この男性が何も悪いことをしていないということは、会社に残された記録から簡単に調べられたはず。しかし、ありえないことにこの元勤務先は、男性が不法な行為を行ったというありもしない事実をでっちあげ、訴えてきたのです。
辞めた人間への嫌がらせとしか思えない行為に、男性は毅然として戦うことを決意。裁判は、地裁から高裁までもつれましたが、広島高等裁判所の判決(2013年12月)は、元勤務先の賠償請求を完全に棄却し、一方で不当訴訟であるとして逆に損害賠償を求める男性側の反訴を支持するものでした。判決の理由は、「元勤務先が主張した男性の不法行為による損害賠償請求権は、事実的・法律的根拠を欠くものであり、かつ、元勤務先は、その請求が事実的・法律的根拠を欠 くことを知り、また、通常人であれば容易にそのことを知り得たのにあえて訴えを提起した、と認められ、訴訟の提起自体が、裁判制度の趣旨目的に照らして 著しく相当性を欠くものであり、不法行為を構成する」というもの。違法なブラック企業に目にものを見せてやった判決といえます。

◆「残された人間のモチベーションが下がったから賠償せよ」?!

また、こんなトンデモ理論をふりかざすブラック企業のケースも報告されています。

過労死してもおかしくないほどの勤務状態に耐えかねて、退職を申し出たところ、2000万円もの損害賠償を求められたというもの。その理由はなんと、「従業員モチベーション低下数値」という、聞いたこともないような意味不明な数値を根拠にしていました。

たぶん退職者が出たことで、残った社員たちの士気が下がり、業績が落ちた分を賠償せよ、ということなのでしょう。まったくもって意味不明な上、辞めた人間の責任ではないとしか言いようがありませんね。

◆ブラック企業の脅しには、なんの法的根拠もない!

こんな風に、意味不明な理論を振りかざして、辞めようとする従業員に「訴えるぞ」と脅してくるブラック企業は少なくないといいます。ただ、いくら雇用主が従業員を会社にしばりつけようとしても、法的には絶対に許されない行為です。日本国憲法22条で「職業選択の自由」は全ての国民に認められた権利として明記されていますし、同じく憲法18条では、「何人も奴隷的拘束を受けない」「意に反する苦役に服させられない」と宣言しています。また、労働基準法もこのような憲法の思想をもとにして、第5条で「強制労働の禁止」をうたっています。ブラック企業の所業は、明らかに憲法違反なのです。

また、退職した従業員が民事上の損害賠償請求を受けるリスクですが、法律に定められた手順を守って退職する限り、通常あってはならないことです。いくら職業選択の自由を保障し、退職するのは自由意志であるとしていても、実際辞めたら訴えられるようでは、退職を抑制することにつながるからです。
退職届を事業主に提出して、法定の日数を経て退職すれば、どんなにおかしな理由で脅されても、法的に根拠のないことなので、屈する必要はありません。
労働者側も、ブラック企業のトンデモ理屈に振り回されることのないよう、自らの権利は自らで守るという意思をもって、不当な脅しにはきぜんと立ち向かうことが大切です。

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