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これはあまりにも酷過ぎる…殺人事件遺族に対する賠償金問題

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殺人事件が起こってしまった場合、遺族は「故意又は過失に因りて他人の権利を侵害したる者は之に因りて生じたる損害を賠償する責に任ず。」という民法709条に則り、損害賠償を求める事ができます。

しかし、実際には賠償請求の判決が下されても、加害者に支払能力がない場合や、その他の事情により、完済されるケースはあまりなく、被害者が泣き寝入りするケースも多いとのことです。

◆「実際に支払い能力があるかどうか」という問題

2013年に三重県朝日町で起きた中3女子殺害事件では、遺族は加害者の少年(当時19才)に約1億円の損害賠償を請求しました。今回の場合、未成年の両親に対してどの程度請求できるかという部分に注目が集まりました。

担当弁護士は「予見可能性があったかが問われます。例えば、親がわが子の度重なる非行を注意せず、見て見ぬフリをしていたら、予見できたはずとなる。川崎の事件では、容疑者の少年は事件以前から非行に走っていたといいます。親の賠償責任が認められてもおかしくないでしょう」と指摘しています。しかし実際に加害者の少年の両親が1億円を支払うことができるかどうか、難しいところでしょう

◆「行方をくらます」加害者、「自己破産する」加害者

また、加害者の中には、行方をくらましたり、自己破産することで支払いを免れるものも多いです。

92年に集団リンチによって少年が亡くなった事件では、損害賠償を請求された7人中3人は行方不明になっています。その他、99年の高1証券集団リンチ殺人(4000万円請求)、99年の16歳少年集団リンチ殺人事件(9000万円請求)などでも、現在、加害者は行方不明であり、賠償請求は実際に機能していません。

また、自己破産してしまうことで請求を免れるケースもかなり多いようです。

03年1月に福岡で起きた17歳少年リンチ殺人(5750万円請求)や00年5月に埼玉で起きた高2章年集団リンチ殺人(8170万円請求)などは、自己破産によって支払いを行っていない事例です。

ちなみに、犯罪被害者の遺族に国から給付金が支払われる制度もありますが、平均給付額は「四百数十万円」だということです。

また、賠償請求権には10年という時効があります。このタイミングで改めて裁判を起こさないと、支払い責任も事件も風化してしまうという制度上のリスクも存在します。

◆賠償請求も意外と高くつく。改善案としての「代執行制度」も。

ネットなどでは、殺人事件に遺族の高額請求などに対して「たくさんお金をもらえてうらやましい」、「一生金に困らない」などというひどい誹謗中傷が行われるケースも多く見られます。こういった事件の副産物的な心的ストレスにより、自殺や離婚、家族離散に追い込まれてしまう遺族も多いのです。

しかし、お金のことだけ言えば、実は、被害者の賠償金請求はタダで出来るものではありません。裁判に必要な印紙代は以外と高く、例えば賠償金額7000万円程度であれば、印紙代は24~25万円程度かかってきます。また、弁護士費用も、着手金だけで100万円前後かかりますし、相談料や催促状を出すだけでも、その都度数万円はかかるようなイメージです。

なお、こういった遺族の労力を回避するために、現在実現に向けて動いている制度の一つが、『代執行制度』です。被害者遺族が弁護士を通じて賠償金請求を行う代わりに、国が賠償を行い、その金を加害者に請求するという制度です。これを行うことで、これまで民事上不可能だった加害者本人以外からの資産募集、差し押さえなどができるようになります。

殺人事件に巻き込まれた遺族は、それ自体ですでに深く傷つき、さらに賠償請求やそれにまつわる周りからの言葉によって傷つく事があるのです。

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