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ブラック批判を受けたユニクロが高額賠償請求した隠された理由とは

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労働環境が劣悪な会社、いわゆるブラック企業における裁判問題は近年さらに多くなっていると聞きます。ユニクロを展開するファーストリテイリングも、この問題を抱えています。
ファーストリテイリングでは、新卒者の2人に1人が3年以内に辞職しており、かつ店舗正社員の休業者の内43%弱がうつ病など精神疾患にかかっているといいます(12年8月期)。

◆文藝春秋を相手取り、高額賠償請求を起こしたファーストリテイリング

このように労働環境が厳しいとされているファーストリテイリングは2011年6月、大手出版社である文藝春秋を相手取って、ジャーナリストの横田増生氏が執筆した「ユニクロ帝国の光と影」という書籍の発行差し止めと回収、そして謝罪広告と2億2000万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴をしました。

ここで問題視されたのは、同出版社の発行物「週刊文春」で2010年5、6月に掲載された「ユニクロ中国の秘密工場に潜入した!」という記事です。その記事の中では、ユニクロの国内店舗のみならず、中国の生産委託工場における非常に過酷な労働環境を指摘していました。

この裁判では、長時間労働とサービス残業が論点となりました。具体的には、国内のユニクロ店舗にて、2007年頃までは店長が相当な長時間労働をしていたことなどが挙げられ、2007年4月以降も、30代の現役店長の取材を通し、「11月、12月は月300時間を超えて働いている」というコメントを掲載しています。また、中国の生産現場では、「ユニクロの納期を守るため恒常的に午後9時以降まで残業があるが、ユニクロは工場の労働環境に興味がないと判断した」という風な記述がなされています。

これに対しファーストリテイリング側は強く反発しましたが、2013年10月、東京地裁は「繁忙期のサービス残業を含む月300時間超の労働は真実」という結論を出し、ファーストリテイリング側の意見を退けました。これを受けたファーストリテイリングは控訴するも、東京高裁は14年3月、同社の控訴を却下すると同時に、同社の上告を受理しないと決定。東京高裁の判決はこの時点で確定したのです。

◆なぜファーストリテイリングは高額請求をしたのか

ユニクロのような市民に指示されるブランドを運営するファーストリテイリングにとってブランドは極めて重要なポイントです。それを汚されることがもっとも大きな痛手になるのです。実は、「ファーストリテイリングがメディアに対して2億円超という高額の損害賠償請求をしたのは、メディアからの自社批判を封じ込めるという裏の狙いがあったということは周知の事実です。事実、11年6月の提訴から、大手メディアではファーストリテイリング批判が少なくなったという事実があります。

その後、ファーストリテイリングは少なくともメディアによって傷つけられてしまった自社のブランドを回復させるため、多くの施策を打ちます。例えば、14年6月から、パートやアルバイト社員を正社員に知る取り組みを始め、ユニクロの国内店舗で働く非正規スタッフ約3万人のうち1万5000人以上を地域限定の「R(リージョナル)社員」に切り替えています。また、柳井正会長兼社長は人事政策において「土日に休むといった柔軟な働き方も認める」という風に、考えを柔軟に転換しているということを全面に打ち出しています。

また、パートとアルバイトの時間給を増やした結果、人件費は大きく増えており、13年8月期の647億円にくらべ、14年8月期の国内ユニクロ事業の人件費は742億円となっています。

ただ、裁判でブランドイメージを壊されることにくらべれば、安いものでしょう。

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