これは理不尽!もらい事故による高額賠償まとめ
「もらい事故」で被害者になるはずが、高額の賠償請求をされた例が話題になっています。なぜそんなことが起きたのでしょうか?
◆もらい事故で4000万の賠償!驚きの事故の真相
その判決は2015年4月、福井地裁で言い渡されました。
死亡した助手席の男性の遺族は、居眠り運転をしていた大学生に対して訴訟を起こし、判決では約6700万円の損害賠償が申し渡されました。
まあ、ここまでは理解できる話でしょう。居眠り運転という運転手過失により事故を起こし、一人の方が亡くなったのですから。
なんと、居眠りをしていた事故車の運転手とは別に、突っ込まれたほうの対向車の運転手にも、約4000万円の賠償責任があるという驚きの判決が下されたのです。
亡くなった男性の遺族は、居眠り運転手だけでなく対向車の方にも事故の責任の一端があるとして提訴していました。
また、死亡した男性は自分の所有する車の助手席に座り、別の人に運転させていました。しかし、事故車の任意保険は、家族以外が運転している場合は事故を起こしても補償しない契約だったため、保険から遺族への損害賠償がされない状態となっていました。
対向車側の運転手はもちろん、「事故は対向車線にはみだしてきた相手側の一方的な過失によって生じたもので、自分には責任はない」と主張していましたが、これが認められなかったのです。
原告となった遺族側の弁護士によると、同様の事故で直進対向車の責任を認めたのは全国で初めてだといいます。
◆判決の根拠となった自賠法3条とは
この判決は、自動車損害賠償保障法(自賠法)3条を根拠にしているといいます。
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。
ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。
少し難しいですが、要するに
・自動車の運転に関して、注意をおこたらなかったこと
・被害者もしくは運転者以外の第三者の側に過失があったこと
・自動車に構造上の欠陥や機能的な障害がなかったこと
以上の3点を完全に証明できなければ、賠償をする責任をから免れることはできないということです。
今回のケースでは、対向車側がどの時点でセンターラインを越えた車を発見できたか、もしくは前方注意を怠っていたという過失があったともないとも証明できないため、賠償責任が発生したということです。
なぜこのような法律が定められたのかというと、自動車は便利な移動手段であると同時に、高い殺傷能力を持つ危険なものでもあります。一度事故を起こせば、多大な被害を及ぼします。
そのため、運転者には重い注意義務を課しているのです。
◆ドライブレコーダーや特約付きの保険で安心
保険にはきちんと加入しているし、安全運転も心がけているし、自分は絶対大丈夫、事故には遭わないと考えている人も多いでしょう。しかし、相手側の過失で発生する「もらい事故」まではなかなか防げるものではありません。
上記のようなもらい事故による損害賠償を防ぐためには、自らの無実を完全に証明しなくてはいけませんから、ドライブレコーダーを付けるのがもっとも確実な対処法といえます。また、自動車保険の中には、もらい事故発生時の弁護士費用を負担する特約がついているものもあります。